旧暦7月の約1か月間、シンガポールでは「ハングリーゴースト・フェスティバル(中元節)」と呼ばれる行事が行われます。
旧暦7月は「鬼月」と呼ばれ、地獄の門が開いて、餓鬼と呼ばれるお腹を空かせた霊たちが地上に戻ってくると信じられています。霊を怒らせないように食べ物などをお供えしたり、紙で作ったお金や車などを燃やして捧げたり、歌やダンスのショーを開いて霊をもてなしたりします。
日本のお盆に似た伝統行事と紹介されることもありますが、実際の雰囲気は、むしろハロウィンやメキシコの「死者の日」に近い、にぎやかなイベントという印象です。
主に中国、シンガポール、マレーシア、台湾、ベトナムなど、東アジア・東南アジアの中華系コミュニティを中心に、仏教や道教などの文化の影響を受けた地域で行われています。
シンガポールでは、チャイナタウンはもちろん、公営住宅(HDB)の周辺やホーカーセンターなどにも祭壇が設けられ、お供え物や紙銭を燃やす光景を目にすることがあります。
この時期には、「夜遅くに出歩かない」「水辺に近づかない」「後ろから声をかけられても、すぐに振り返らない」といった言い伝えがあります。また、引っ越しや結婚式、起業など、人生の大きなイベントを避ける人もいるそうです。こうした風習は、現在でもシンガポールの人々の間に受け継がれています。
2026年は、8月13日(木)から9月10日(木)までがハングリーゴースト・フェスティバルの時期です。
- 8月13日(木):【鬼門開】地獄の門が開き、霊たちが地上へやってくるとされる日(旧暦7月1日)。街中でお供えをしたり、紙銭を燃やしたりする光景が見られるようになります。
- 8月27日(木):【中元節/ゴースト・デイ】旧暦7月15日にあたり、この時期の重要な日とされています。特にこの日の夜には、盛大なお供えが行われます。
- 9月10日(木):【鬼門関】地獄の門が閉まり、霊たちが帰っていくとされる日(旧暦7月29日)。大きな紙人形「大士爺」などを燃やして、霊たちを送り出す儀式が行われます。
先日、チャイナタウンのスミス・ストリートを通ったところ、道路沿いに祭壇が設置されていました。


ハングリーゴースト・フェスティバル(中元節)が終わると、次はミッド・オータム・フェスティバル(中秋節)の季節です。
2026年の中秋節は、9月25日(金)です。
中秋節は、日本の十五夜やお月見に似た行事ですが、シンガポールでは月餅(ムーンケーキ)を贈り合う習慣があります。この時期になると、ホテルや高島屋などで月餅の特設販売が行われ、さまざまな種類の月餅が店頭に並びます。
そして、中秋節の後には、いよいよF1シンガポールGPがやってきます。
一年中暑いシンガポールでは、日本のようにはっきりとした季節の変化を感じることはありません。
それでも、こうした季節の行事を通して、シンガポールならではの「季節」を感じることができます。
私にとっては、ハングリーゴースト・フェスティバル、中秋節、そしてF1シンガポールGP。この3つのイベントが、シンガポールで秋の訪れを感じる風物詩になっています。